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鬼の筆 戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折 [本]

春日太一「鬼の筆 戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折」文藝春秋

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”全身脚本家”驚愕の真実!
『羅生門』、『七人の侍』、『私は貝になりたい』、『白い巨塔』、『日本のいちばん長い日』、『日本沈没』、『砂の器』、『八甲田山』、『八つ墓村』、『幻の湖』など、歴史的傑作、怪作のシナリオを生み出した、日本を代表する脚本家・橋本忍の決定版評伝。
著者が生前に行った十数時間にわたるインタビューと、関係者への取材、創作ノートをはじめ遺族から託された膨大な資料をもとに、その破天荒な映画人の「真実」に迫る。全480ページ。
第55回大宅壮一ノンフィクション賞受賞作
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春日太一さんが生前に行ったインタビュー、関係者への取材、遺族から託された資料を元に書いた脚本家・橋本忍の評伝です。
これは面白かった。春日さんはまだ若いのに日本映画に関する数々の著作を世に出していますが、これが一番の傑作ではないかと思います。
何から書いていいか迷うくらい盛りだくさんですが、まず橋本忍の創作に関する「複眼の映像」に結構記憶違いがあるという指摘にびっくり。
関係者の取材でその点を明らかにしていきます。
そのため作品の成立についてもこちらが真実に近いと思わせます。

個人的に一番面白かったのは自身のシナリオ「砂の器」「八甲田山」が映画会社での制作が難航しているため橋本プロを作り制作した裏にあった話。
「人間革命」のシナリオを書いて、原作者の池田大作の信頼を得た事から、「砂の器」「八甲田山」の前売券を創価学会系の民音で売る事ができます。
会長の後押しもあって聖教新聞でも特集を組みます。
これがヒットの布石だった訳です。
春日さんはそこまで書いていませんが、もしかすると橋本さんは「人間革命」のシナリオを引き受けた時から構想していたのかも。

そして挫折とは「幻の湖」の興行的失敗です。
春日さんは創作ノートなどで失敗の原因を探りますが、これはやはり謎が残ります。
個人的には失敗するべきして失敗したのかと思いますが。
とにかく面白い本でした。


鬼の筆 戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折

鬼の筆 戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折

  • 作者: 春日 太一
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2023/11/27
  • メディア: 単行本



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