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刑事何森 孤高の相貌/刑事何森 逃走の行先 [本]

丸山正樹「刑事何森 孤高の相貌」創元推理文庫

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埼玉県警の何森稔は、昔気質の一匹狼の刑事である。
有能だが、組織に迎合しない態度を疎まれ、所轄署をたらいまわしにされていた。
久喜署に所属していたある夜、何森は殺人事件の捜査に加わる。
障害のある娘と二人暮らしの母親が、二階の部屋で何者かに殺害された事件だ。
階段を上がれない娘は大きな物音を聞いて怖くなり、ケースワーカーを呼んで通報してもらったのだという。
県内で多発している窃盗事件と同一犯だろうという捜査本部の方針に疑問を持った何森は、ひとり独自の捜査を始める――。
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丸山正樹さんのデフ・ヴォイスシリーズのスピンオフです。
人気キャラクター何森刑事を主人公とした連作短編集。これは面白かった。
何森が魅力的なのとミステリ的によく出来ているのがいいですね。
どの短編もよく出来ていますが、特に最後の中編は力作。
事件の哀しいラストと何森の辛い過去が交錯し思わず涙してしまいました。
東野圭吾さんの最良の作品に匹敵すると言ってはちょっとほめすぎでしょうか。
お勧めです。

丸山正樹「刑事何森 逃走の行先」東京創元社

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優秀な刑事ながらも組織に迎合しない性格から、上から疎まれつつ地道な捜査を続ける埼玉県警の何森稔。
翌年春の定年を控えたある日、ベトナム人技能実習生が会社の上司を刺して姿をくらました事件を担当することになる。
実習生の行方はようとして掴めず、捜査は暗礁に乗り上げた、何森は相棒の荒井みゆきとともに、被害者の同僚から重要な情報を聞き出し──。
技能実習生の妊娠や非正規滞在外国人の仮放免、コロナ禍による失業と貧困化などを題材に、罪を犯さざるを得なかった女性たちを描いた全3編を収録。
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デフ・ヴォイスシリーズのスピンオフ2作目。
面白いですが、前作が傑作だっただけにそこまでではないかな。
非正規滞在外国人という弱者をテーマにするあたりは丸山さんらしいです。
デフ・ヴォイスシリーズの主人公の妻で刑事の荒井みゆきとのコンビは前作以上にいい感じなんですが。
でも面白かったので続編希望です。


刑事何森 孤高の相貌 (創元推理文庫)

刑事何森 孤高の相貌 (創元推理文庫)

  • 作者: 丸山 正樹
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2023/11/30
  • メディア: 文庫



刑事何森 逃走の行先

刑事何森 逃走の行先

  • 作者: 丸山 正樹
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2023/06/19
  • メディア: 単行本



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デフ・ヴォイスシリーズ [本]

丸山正樹さんのデフ・ヴォイスシリーズを読みました。このシリーズは面白い。

丸山正樹「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士」文春文庫

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仕事と結婚に失敗した荒井尚人。いまの恋人にも半ば心を閉ざしているが、やがて唯一の技能を活かして手話通訳士になる。
あるろう者の法廷通訳を引き受け、過去の事件に対峙することに。現在と過去、二つの事件の謎が交錯をはじめ……。
マイノリティの静かな叫びが胸を打つ、感動の社会派ミステリー。シリーズ通して読み継がれるロングセラーです。
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ドラマ化もされた丸山正樹さんの長編デビュー作です。
丸山さんは頸髄損傷の奥さんを介護しているそうで、その点から障害をテーマにした小説を書いています。
本作はろう者がテーマですが、主人公は映画で有名になったCODA(家族はろう者で自身は聞こえる)です。
警察組織で孤立し離職した主人公が手話通訳士となりマイノリティの側に立とうと奮戦しますが、、
最初は主人公に敵対すると思わせる何森刑事の真意が明かされるシーンが感動的。

丸山正樹「龍の耳を君に: デフ・ヴォイス」創元推理文庫

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手話通訳士の荒井尚人は、コミュニティ通訳のほか、法廷や警察で事件の被疑者となったろう者の通訳をする生活の中、場面緘黙症の少年に手話を教えることになった。
めきめきと上達した少年はある日、殺人事件について手話で話し始める――。
NPO職員が殺害された現場は、少年の自宅の目の前だった。
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シリーズ2作目。主人公は手話通訳士として仕事を続けています。
主人公と恋人、その子の三人から目が離せません。
何森刑事も登場します。

丸山正樹「慟哭は聴こえない: デフ・ヴォイス」創元推理文庫

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ろう者の妊婦から医療通訳の依頼を受けた手話通訳士・荒井尚人。
専門知識が必要で、しかも産婦人科であるために苦戦しながらも丁寧に対応したのだが、翌日、彼女からSOSが届き──。
ろう者による緊急通報の困難を問題提起した表題作ほか、急死したろう者の素性を何森刑事と共に探る旅路を描く「静かな男」など、荒井が出合った四つの事件。
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シリーズ3作目。ろう者の緊急通報の困難を描いた表題作他、読み応えのある短編集。
何森刑事も重要な役で登場します。

丸山正樹「わたしのいないテーブルで: デフ・ヴォイス」東京創元社

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コロナ禍の2020年春、手話通訳士の荒井の家庭も様々な影響を被っていた。
刑事である妻・みゆきは感染に怯えつつも業務をこなし、一方の荒井は二人の娘の面倒を見るため手話通訳の仕事も出来ない。
そんな中、旧知のNPO法人から、女性ろう者が起こした傷害事件の弁護団への通訳としての参加依頼が届く。
些細な口論の末に実母をナイフで刺した事件。聴者である母親との間に何が?
コロナ禍でのろう者の実態と苦悩を描く、〈デフ・ヴォイス〉シリーズ最新長編。
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シリーズ4作目。最新長編です。2020年春コロナ禍で苦悩するろう者がテーマです。
主人荒井はみゆきと結婚し、娘にも恵まれます。ですが娘は聞こえない子でした。
主人公は女性ろう者が口論の末、母を刺した事件に弁護団の通訳として参加しますが、、
やはりこのシリーズは面白い。続巻も期待しています。


デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士 (文春文庫 ま 34-1)

デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士 (文春文庫 ま 34-1)

  • 作者: 丸山 正樹
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2015/08/04
  • メディア: 文庫



龍の耳を君に: デフ・ヴォイス

龍の耳を君に: デフ・ヴォイス

  • 出版社/メーカー: MediaDo
  • 発売日: 2024/06/07
  • メディア: Audible版



慟哭は聴こえない (デフ・ヴォイス)

慟哭は聴こえない (デフ・ヴォイス)

  • 作者: 丸山 正樹
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2019/06/28
  • メディア: 単行本



わたしのいないテーブルで: デフ・ヴォイス

わたしのいないテーブルで: デフ・ヴォイス

  • 作者: 丸山 正樹
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2021/08/31
  • メディア: 単行本



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