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海洋堂創世記 [本]

樫原辰郎「海洋堂創世記」白水社

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海洋堂公認!
『1Q84』とも『あまちゃん』とも違う狂熱の80年代が、ナショナル・パナソニックの企業城下町で、日夜、繰り広げられていた!
大阪芸術大学に通う〈僕〉が足を踏み入れた、狭い路地の奥の倉庫。
まさしくそこが模型づくりの聖地であり、総本山であり、梁山泊である海洋堂だった。
そこで、〈僕〉は、館長や専務、ボーメさんら原型師たちとともに、疾風怒濤の日々を過ごしてゆく──。
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樫原辰郎さんがかってバイトしていた海洋堂を久々に尋ねる所から始まり、回想となります。
有名な館長、専務、ボーメさんら原型師と出会っての日々が描かれます。
ほとんど全員が存命というのが凄い。
海洋堂のライバルとして、ゼネプロ(後のガイナックス)が登場しますが、海洋堂はオタキングこと岡田斗司夫に蔑視され敵視していたというのが興味深い。
個人的には後にアニメなどの作り手に回る構想のあったゼネプロは海洋堂をしょせん模型屋と思っていたのかな。
ゼネプロがダイコンフィルムで作り手になってからは敵対関係も薄れたとか。
やはりボーメさんら原型師たちの個性的な描写が面白い。
最後は現在に戻ってその後が語られます。
樫原さんは海洋堂を去り上京し、映画監督、脚本家、文筆家として活躍しているそうです。

海洋堂創世記

海洋堂創世記

  • 作者: 樫原辰郎
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 2015/01/19
  • メディア: Kindle版



海洋堂創世記[60周年記念版]

海洋堂創世記[60周年記念版]

  • 作者: 樫原 辰郎
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 2024/10/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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三谷幸喜 創作の謎 [本]

三谷幸喜、松野大介「三谷幸喜 創作の謎」講談社

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大ヒットしたNHK大河ドラマの傑作『鎌倉殿の13人』から、脚本・監督を務めた最新作『スオミの話をしよう』まで、当代随一の喜劇作家が明かす「物語作り」の秘密――。
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三谷幸喜さんが元ABブラザーズで作家の松野大介さんと作品について語った本、2冊目。
文庫化もされた「三谷幸喜 創作を語る」は「古畑任三郎」から「清須会議」までが語られていました。
今回は「真田丸」「鎌倉殿の13人」から最新作「スオミの話をしよう」まで。
裏話が面白いです。「真田丸」の長澤まさみさんの役は本人が「樹木希林」さんの様な役をやりたいと言ったとか。
だから役名はきりなんですね。
「ギャラクシー街道」がなぜ失敗したかという話もあります。


三谷幸喜 創作の謎

三谷幸喜 創作の謎

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2024/09/20
  • メディア: Kindle版



三谷幸喜 創作を語る (講談社文庫 み 75-1)

三谷幸喜 創作を語る (講談社文庫 み 75-1)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2024/08/09
  • メディア: 文庫



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体験的女優論 [本]

鈴木敏夫「体験的女優論」河出書房新社

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スタジオジブリの名プロデューサーによる映画エッセイ。
大原麗子、風吹ジュンから、梶芽衣子、緑魔子など、無類の映画好きが見た映画と女優の魅力が満載。
ジブリ映画製作の裏側も。
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鈴木敏夫さんの女優に関するエッセイ。面白かったです。
鈴木さんは元アサヒ芸能の記者。
梶芽衣子さんに始まり体験的に見た映画女優について縦横に語っています。
入口は女優論ですが、そこから監督論、脚本家論も。
とにかくたくさん見ているのに圧倒されます。
大原麗子の代表作として市川崑監督のサントリーのCMをあげているのも納得。
神代辰巳監督の話も長いですが、今村昇平、山田太一などなども語っています。
高畑監督や宮﨑監督との映画作りで見た映画を生かしたという裏話も。


体験的女優論

体験的女優論

  • 作者: 鈴木 敏夫
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2024/09/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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虚の伽藍 [本]

月村了衛「虚の伽藍」新潮社

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日本仏教の最大宗派・燈念寺派。
弱者の救済を志す若き僧侶・志方凌玄がバブル期の京都で目にしたのは、暴力団、フィクサー、財界重鎮に市役所職員……古都の金脈に群がる魑魅魍魎だった。
腐敗した燈念寺派を正道に戻すため、あえて悪に身を投じる凌玄だが、金にまみれた求道の果てに待っていたのは――。
人間の核心に迫る圧巻の社会派巨編。
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月村了衛さんの新作です。これは面白かったです。
京都の仏教の闇を描いて一気に読ませました。
やくざ、フィクサー、僧侶が入り乱れて暗闘します。
月村さんの代表作「機龍警察」の最新作で敵役が京都の闇を代表する人物だったのでその取材の成果なのかも。
お勧めです。

虚の伽藍

虚の伽藍

  • 作者: 月村了衛
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2024/10/17
  • メディア: Kindle版



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山本巧次「蟷螂の城」 [本]

山本巧次「蟷螂の城 定廻り同心 新九郎、時を超える」光文社文庫

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江戸町奉行所の同心・瀬波新九郎は、これまで度々江戸の世界から戦国時代へとタイムスリップさせられ、行った先で難題を解決してきた。
久しぶりにゆったりとして日々を送っていた新九郎は、志津との祝言に向けて思いを募らせていた。
と、そこに、急遽、問題が持ち上がる。
志津の父・上谷畿三郎は作事奉行の下吏を務めているが、畿三郎の持つ脇差に入っている家紋が不届きだと讒言を受け、謹慎させられてしまったのだ。
もはや祝言を行うどころではない。
そこで、言いがかりをつけたと思しき人物の周辺を調べることにしたのだが、そんな折に、またも時空を飛び越えてしまった。
辿りついた先は、なんと関ヶ原の合戦直後の戦場近くの場所だった……。
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「八丁堀のおゆう」の山本巧次さんの新作です。
二か月連続刊行された「鷹の城」「岩鼠の城」の続編の三作目。
現代と江戸時代が時穴でつながっているおゆうとは違い、江戸の同心が過去にタイムスリップします。
1作目は信長の時代、2作目は秀吉の時代で本作は関ヶ原の戦いの直後。
前作と同様、先祖の危機を救う事になります。
SFミステリとしてなかなかよく出来ています。
三部作で完結っぽいですが、続編もあれば読みたいですね。


蟷螂の城 定廻り同心 新九郎、時を超える (光文社文庫 や 39-3)

蟷螂の城 定廻り同心 新九郎、時を超える (光文社文庫 や 39-3)

  • 作者: 山本巧次
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2024/09/11
  • メディア: 文庫



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アニメと戦争 [本]

藤津亮太「アニメと戦争」日本評論社

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『桃太郎 海の神兵』から『この世界の片隅に』まで、アニメに登場する様々な戦争。
その系譜をたどり、社会との関係を問い直す。
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アニメと戦争について語った本。
「SFアニメと戦争」との違いは太平洋戦争前からの日本の関わった戦争とアニメが中心な事。
最初の戦意高揚アニメの「桃太郎 海の神兵」から「この世界の片隅に」まで。
日本が中心でないユーゴ内戦の話もありますが、これは「紅の豚」がユーゴ内戦に関係してくるから。
「SFアニメと戦争」と共通するのは「パトレーバ―2」を高く評価している事。
確かに日本アニメで最も戦争を描いたのは「パトレーバ―2」ですね。
「風立ちぬ」と「この世界の片隅に」の詳しい解説が面白かったです。


アニメと戦争

アニメと戦争

  • 作者: 藤津 亮太
  • 出版社/メーカー: 日本評論社
  • 発売日: 2021/05/14
  • メディア: Kindle版



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椎名誠「思えばたくさん呑んできた」 [本]

椎名誠「思えばたくさん呑んできた」草思社

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ただもう、うまい酒を求めて……飲んで飲んで飲みまくる!
流木焚き火を囲みヒミツのキャンプ地で、新宿の地下の暗闇酒場で、銀座の屋上で、沖縄の離島で、台湾で、スコットランドで、シベリアで…
国内外での酒まみれの歳月をつづる。
二十歳の頃の極貧酒時代から、コロナ禍での一人ザケの愉しみまで、酒、酒、酒…のシアワセ。
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椎名誠の酒に関するエッセイ集です。
若い頃から最近まで椎名さんの酒生活がつづられます。
椎名さんのエッセイはほとんど読んでいるので、この話はあの本の頃だなと大体分かりますね。
しかし椎名さんはお酒に強い。
どぶろく8合とか凄いな。


思えばたくさん呑んできた

思えばたくさん呑んできた

  • 作者: 椎名 誠
  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 2024/10/21
  • メディア: Kindle版



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八丁堀のおゆう 抹茶の香る密室草庵 [本]

山本巧次「大江戸科学捜査八丁堀のおゆう 抹茶の香る密室草庵」宝島社文庫

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茶室で密室殺人!日本家屋で不可能状況
茶問屋の清水屋が根津の寮で殺害された。
居合わせた南町奉行所内与力・戸山の証言によれば、被害者の入室後、現場である茶室に近付いた者はいないという。
「密室殺人事件に遭遇した!」と興奮する十手持ちの女親分・おゆうこと現代人の関口優佳は、友人である科学分析ラボの宇田川の協力を得て調査を進める。
果たして、茶株仲間の主導権争いを背景に起きた日本家屋での密室殺人の真相とは?
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山本巧次さんの八丁堀のおゆうシリーズ10作目です。
江戸と現代の東京に抜け穴があるのは半村良「およね平吉時穴道行」みたいですが、ヒロインが現代と江戸を行き来しながら捜査するというのが面白い。
茶問屋が殺されますが、現場は密室状態でした。
おゆうは宇田川の協力で捜査しますが、、
相変わらず面白いです。最後には宇田川がある事実に気付いている事が明かされ続巻も楽しみです。


大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう 抹茶の香る密室草庵 (宝島社文庫)

大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう 抹茶の香る密室草庵 (宝島社文庫)

  • 作者: 山本巧次
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2023/11/07
  • メディア: Kindle版



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機動部隊旗艦「大和」2熱闘のソロモン [本]

横山信義「機動部隊旗艦「大和」2熱闘のソロモン」C★NOVELS

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珊瑚海海戦の敗退によって明らかとなった空母機動部隊が抱える弱点、すなわち通信能力の不足と攻撃に対する脆弱さを一挙に解決するべく、戦艦「大和」を前線に送り出した。
この英断により、第一機動艦隊はソロモン海にて米艦隊に圧勝する。
連合艦隊はすぐさまニュージョージア島に前進、米豪分断作戦は成功するかに思えた矢先、米軍がガダルカナル島に上陸したとの情報が。
ラバウル基地から空爆を仕掛けるとともに、重巡「鳥海」率いる第八艦隊、さらに戦艦「金剛」「榛名」を主力とする第二艦隊も出動するが、米軍の飛行場建設阻止には至らない。
ついに第一航空艦隊あらため第三艦隊にも出撃命令が下り、戦艦「大和」は再び空母を率いて南洋へ向かう――。
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横山信義さんの仮想戦記新シリーズです。
珊瑚海海戦が日本海軍の敗北に終わり、大和が機動部隊旗艦となります。
ミッドウェイ作戦は中止となります。
大和が加わった機動部隊と米軍は再び激突し圧勝します。
米軍はガダルカナル島に飛行場を建設。日本側は阻止しようとしますがうまくいきません。
ミッドウェイ海戦が起きずにソロモン諸島での海戦となるので史実よりは日本側が有利に進みます。
横山さんらしく戦艦無双なのが楽しい。
欧州での戦況も興味深いです。ヒトラーはいなくなってヴェルナー・フォン・フリッチュが総統になっていました。
続巻楽しみです。


機動部隊旗艦「大和」2 熱闘のソロモン (C★NOVELS)

機動部隊旗艦「大和」2 熱闘のソロモン (C★NOVELS)

  • 作者: 横山信義
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2024/10/21
  • メディア: Kindle版



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ゴジラ×市川崑 1977~2006の現場 [本]

手塚昌明「ゴジラ×市川崑 1977~2006の現場」ホビージャパン

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巨匠・市川崑の下で映画を学び、『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』『ゴジラ×メカゴジラ』『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』と、3本のゴジラ映画を監督した手塚昌明の自伝。
山口百恵主演作品で業界に入り、『古都』からフォース助監督として市川組の現場に参加。
15本以上の作品で市川崑監督を支え、映画の真髄を学んだ手塚昌明。
2000年に『ゴジラ×メガギラス』で監督デビューし、3本のゴジラ映画や『戦国自衛隊1549』といった映画で自身も大作監督と呼ばれるようになりますが、2006年に市川崑が『犬神家の一族』を監督するときは、監督補として支えました。
市川組の緊張感あふれるエピソードや、ゴジラ映画が出来上がるまでの裏側をたっぷりと綴り、貴重写真や画コンテも収録した、市川崑ファン、ゴジラファン、双方必見の書籍です。
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『ゴジラ×メカゴジラ』の手塚昌明監督の本です。これは面白かった。
手塚監督のゴジラ三部作は大好きで、「シン・ゴジラ」「ゴジラ-1.0」を除けばここ20年前後のゴジラのベスト作品。
そのメイキングの話なんですから面白いのは当たり前。
大好きな『ゴジラXメカゴジラ』の試写で釈由美子が涙したという証言には思わずもらい泣き。
オトナの事情で3作目が釈由美子主演にならなかったのも残念。
その他、ふんだんな知らない話が山盛りで面白すぎます。
ただ残念なのはボリュームが少なすぎます。
前半の市川崑監督の助監督時代の話も面白く貴重なのですが、前半後半を2冊に分けて欲しいです。
特にゴジラメイキングの話は続巻を読みたい。


ゴジラ×市川崑 1977~2006の現場

ゴジラ×市川崑 1977~2006の現場

  • 作者: 手塚昌明
  • 出版社/メーカー: ホビージャパン
  • 発売日: 2024/08/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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